各地域で生み出された漆喰風の仕上げ
明けましておめでとうございます。
京都で京町屋・数寄屋建築を中心に広く左官工事を行っている「中須左官店」です。
今年もぜひよろしくお願いいたします。
早速ですが今回は前々回に引き続き、漆喰仕上げについてお話したいと思います。
日本ではかつて土に比べて、石灰は貴重なもので、ふんだんに使用できるものではありませんでした。
なので各地域で様々な方法が生み出されました。
今回ご紹介するのは、その漆喰風の仕上げについてです。
・大津壁
この”大津壁”は粘土に石灰を混ぜたもので、白土の仕上げが朝鮮から伝わったのちに石灰を使う技術が
伝来してきたため、その技法が大津で始まったのが揺らいではないかと考えられています。
大津では石灰を2割、土8割で仕上げていることから、京都以外の関西圏では大津の事を”二分”というが、
この割合では風化しやすいため、7:3や4:6にするとより丈夫になります。
”並大津”という仕上げが一般的だが、”大津磨き”はまた別格の仕上げ方法となり、上品な光沢を放ちます。
・なんば
関西圏で昔から行われていたのは石灰と土を混ぜて仕上げた”なんば漆喰”。
昔は、ふのりを漉したあとの屑も石灰に混ぜて使用していましたが、それだけだと量が足らなかったので
砂や藁の混じった中塗り土をまぜ、予算が取れない現場などに使用していました。
・灰中・はんだ
”灰中”と呼ばれる仕上げは兵庫の篠山あたりで生まれた。
この仕上げは味わい深いもので、石灰と土と砂と細かな藁スサを使用したもので、糊は入っていません。
また”はんだ”は土と土佐漆喰、スサを練り合わせたもので、中塗りとして使用されていました。
中須左官店
京都府京都市中京区壬生高樋町65-58
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2021.01.10